ハイドロキノンは日本では2002年に認可されて以来、市販品にも配合できるようになりました。
当クリニックでもゼオスキンのミラミンは大人気ですが、ハイドロキノンは美白剤としてその地位を確固たるものとしています。
今では、インターネットや店頭で誰でも気軽に購入できますが、その効果や安全性を正確にご存知でしょうか?
美白剤としてのハイドロキノンについて、医学的根拠を示しながら、使用方法、効果や安全性について説明していきます。
ハイドロキノンには還元作用があり、写真の現像に使われています。
現像していた人の肌が白くなったことから美白作用のあることが発見されました。
作用機序としては、メラニン色素の合成に関わる酵素の活性を抑制し、加えてメラニンの産生細胞そのものを減少させることで、シミを漂白すると言われています。
ハイドロキノンは、イチゴ類、麦芽、コーヒー、紅茶など天然にも存在する成分です。
ハイドロキノンは美白効果をもつことから、多くの人がシミを漂白するために使用しています。
患者様がシミを取りたいと言う場合、医学的にはいろいろな種類のシミが含まれています。
加齢によるシミ(老人性色素班)で、露光部(太陽の光がよく当たる顔、首、腕など)に出現する褐色の皮疹や肝斑と言われる顔の対照的に出現する淡い褐色の小さい皮疹などがあります。
また、慢性的な湿疹や火傷、ニキビの後に生じる色素沈着もシミにあたります。
これらのシミにはハイドロキノンは一定の効果を示しますが、基本的にはトレチノインとの併用療法が推奨されています。
トレチノインは強力なメラニン排出効果があり、ハイドロキノン単独ではなく、トレチノインと併用することで、薄くなったり消失させることができます。
しかし、トレチノインを併用したとしてもハイドロキノンはシミの万能薬ではありません。
ご自分のシミがどんなタイプなのかを見極め、最適な治療が何であるのかを知ることがシミ撃退の第一歩となります。
米国では化粧品に配合できるハイドロキノンの濃度は2%までと決まっていますが、日本では化粧品に配合できるハイドロキノンの濃度はまだ規制されておらず、高濃度の化粧品も購入可能です。
ハイドロキノンには細胞毒性があるため、使用方法を間違えると皮膚に悪い影響を及ぼしますので、自己流に使うことは避けたほうが賢明です。
ハイドロキノンは、濃度が高くなるほど漂白効果は高くなりますが、副作用の出現頻度も高くなります。
漂白効果と副作用のバランスを考えると、推奨される濃度は4%程度であり、当クリニックでも4%のハイドロキノンクリームを採用しています。
顔全体の美白を目的として使用する際は、ハイドロキノン単独でもよいかもしれませんが、シミ取りの場合は、トレチノインと併用することが必要になります。
トレチノインは、現状では医療機関でしか購入できません。
ハイドロキノンは変性しやすい成分なので、冷蔵庫に入れる必要はないですが、冷暗所に保存して開封後は早めに使用するようにしてください。
ハイドロキノンアレルギーをお持ちの方もいらっしゃるので、使い始める時、特に肌が弱い方などは、パッチテストをしてから使用することをお勧めします。
特に濃度が高いものはかぶれやすいので、初めて使用する際は腕などの目立たない部位に塗り、1日経ってもかぶれていないことを確かめてから使用するほうがよいでしょう。
ハイドロキノンは基本的に1日1回、夜の洗顔後に使用することが推奨されています。
ハイドロキノン使用時は紫外線に当たると、逆にシミを濃くしてしまいますので、SPF20以上の日焼け止めを使用するなど紫外線対策を行ってください。
ハイドロキノンの注意すべき副作用については、短期的なものと長期的なものがあります。
短期的な副作用はかぶれで、ハイドロキノンの作用として細胞毒性を持っているので、刺激が強く、かぶれの頻度も高くなります。
また、ハイドロキノンを長期にだらだらと使用すると、白斑が出現するリスクが高くなったり、効果が出にくくなったりします。
ゼオスキンプログラムでも休薬期間があるのはそのためです。
ハイドロキノンを3ヶ月以上使用しても効果が乏しい場合は、使用を止めてレーザー治療などの別な方法でアプローチすることが大切です。
シミ治療はたるみやシワ治療に比べて、比較的、効果を実感しやすいですが、シミの治療法を見誤ると効果がないばかりか、悪化させてしまうこともあります。
当クリニックではシミの種類・肌のトーン・肌の敏感さ等によって、10種類の治療メニューを組み合わせて治療しています。
自己流で判断せず、効率よく改善させるためにも、お気軽に相談してください。