令和2年11月に承認された多汗症の治療薬です。
ワキ多汗症のみの適応ですが、本邦では初めて保険で認可された多汗症の外用剤です。
エクロックゲルの作用機序は、ボトックスの効果と似ています。
多汗症の原因は、エクリン汗腺という汗の腺の機能亢進です。
この汗腺は交感神経節後ニューロンという神経線維から放出されるアセチルコリンの刺激で汗を分泌します。
多汗症の治療のためには、このアセチルコリンの刺激を止めればよいことになります。
ボトックスが神経終末からのアセチルコリンの放出を抑制することで、アセチルコリンの刺激を止めているのに比べ、エクロックゲルはアセチルコリンが汗腺につくところをブロックし、アセチルコリンの刺激が伝わらないようにしています。
・皮膚炎
・散瞳、霧視
・口渇
*12歳未満の小児、閉塞隅角緑内障、前立腺肥大による排尿障害がある方、成分に過敏症のある方は使用できません。
*妊婦・授乳婦の使用は慎重な判断となります。
薬剤名 | エクロックゲル |
容量 | 1本 20g (14日分) |
料金 | 保険適用 |
ポンプ付きのボトル、アプリケーター、キャップが一体になっていて、ボトルからキャップとアプリケーターを外して使用します。
【Step.1】
水平にしたアプリケーターの上面にエクロックゲルを乗せます。
↓
【Step.2】
アプリケーターを使用し、ワキの下に塗布します。
使用量 |
右ワキ ポンプ1プッシュ 左ワキ ポンプ1プッシュ |
■ 薬液には手を触れないように注意してください。
■ 手を使って塗布しないでください。
■ 薬液を塗った後、ワキが乾くまでは寝具や衣服が触れないように注意してください。
■ 使用後のアプリケーターに残った薬液は、ティッシュペーパーなどでていねいに拭き取るか、水で洗い流してください。
【Q1.いつ塗布すればよいですか?】
本剤の添付文書には塗布する時間の記載はありません。
毎晩就寝前など、決まったタイミングでの塗布をお勧めします。
入浴後など腋窩が濡れている場合は、水気をタオルなどでよくふき取ってから使用してください。
【Q2.塗布後、乾かす必要がありますか?】
乾かしてから、衣服を着用します。
衣服等への薬剤の付着を防ぐために塗布後は乾かしてください。
【Q3.塗布後、洗浄してしまった場合はどうすればよいですか?】
塗布後、洗浄した場合の有効性についてのデータはありませんが、再度塗布せず、1日1回塗布を遵守してください。
すぐに洗い流してしまう可能性を避けるためにも、エクロックは入浴後にご使用いただくことをお勧めしています。
【Q4.塗り忘れた場合はどうすればよいですか?】
塗り忘れた場合は、気付いた時点で塗布してください。
2回分を1度に塗布しないでください。
【Q5.使用量の目安を教えてください。】
1回の使用量は、右脇にポンプ1プッシュ分、左脇にポンプ1プッシュ分です。
【Q6.ボトル1本でどの程度の期間使用できますか?】
1日1回、右脇にポンプ1プッシュ分、左脇にポンプ1プッシュ分を使用した場合、ボトル1本(20g)が14日分に相当します。
【Q7.妊婦への投与は可能ですか?】
妊婦を対象とした臨床試験は実施していないため、安全性は確立していません。
妊婦、又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与してください。
動物実験(ラット:皮下投与)において、胎盤通過性が報告されています。
【Q8.授乳婦への投与は可能ですか?】
授乳婦を対象とした臨床試験は実施していないため、安全性は確立していません。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討してください。
動物実験(ラット:皮下投与)において、乳汁中に移行することが報告されています。
【Q9.小児への投与は可能ですか?】
12歳未満の小児等を対象とした国内臨床試験は実施していないため、安全性は確立していません。
【Q10.誤飲してしまった場合は、どうすればよいですか?】
口に残っているものは吐き出し、水で口をゆすいでください。
異常を感じる場合は、医師の診察を受けてください。
【Q11.眼に入ってしまった場合は、どうすればよいですか?】
すぐに水またはぬるま湯で洗い流してください。
異常を感じる場合は、眼科医の診察を受けてください。